●  令和5年の年間スケジュールをアップロードいたしました。

(第 3 回目)


初番目物 脇能

能の古い上演方式で 「翁」を演じた後 初番目物から五番目物までを順に上演し、最後に「祝言」(主に脇能を半能形式で演じる)を演じて終わり、又、能と能の間に狂言をはさんだ番組編成をとっていました。
これは江戸時代中期以降の番組編成です。現在ではこの形の能会は殆どありません。
初番目物が脇能とよばれるのには、諸説がありますが、「翁」の次に演ずる、つまり「翁」の脇に置く能、という意味と考えるのが妥当です。

この脇能の特徴は劇的な内容は薄く、もっぱら、御目出度い祝言性を強調する内容になっています。日本国土風土にみられる、神事的な内容も多く含まれているのも特徴です。
このことが、武家社会の中で、神事芸能として成長し、武家式楽として、脇能は長く尊重されてきたのです。
主人公の神にも種類があり、気品高くはつらつとした若い男神(高砂、養老、等)や、荘厳で厳粛な老体の神、やさしく清楚な女神、また、きりりとし力強い荒ぶる神(嵐山、賀茂、等)の神々が存在します。
又その構想と主題は一部の例外を除き、神が来臨し、国土を祝福し、五穀豊穣を祝うものや、又  社寺の縁起を物語るというものになります。
日本国土に根付いた、又 日本人が解らずにその体内に宿しているもの、日本人の原点がそこにあるのではないかと、考えています。
そう思いながら、鑑賞されてはいかがでしょうか。


  
次回につづく  

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